今後50年を見据えたプロオーディオブランドの構築
今週のInfoCommでは、弊社の新しい社名「802 LABS」を世界に向けて発表します。Bose Bose Professionalからの移行は今後1年間かけて段階的に実施され、2027年2月までに新社名に完全に移行する予定です。
ブランド名そのもの――その意味や、なぜその名前を選んだのか――についてお話しする前に、まずはもう少し本質的なことからお伝えしたいと思います。そもそもブランドとは何なのか。そして、私たちがこの先50年間ビジネスを続ける企業として、なぜブランドが重要なのか。
ブランドとは一体何なのか
私は、ブランドとは、その企業に対し人々が抱く印象や信頼の積み重ねだと考えています。その印象は、自分たちの意思で築いていくこともできますし、何もしなければ自然に形づくられていくものでもある。そういう意味では、ブランドは企業文化とよく似ています。意識しているかどうかにかかわらず、どちらも必ず存在するものなのです。
ブランドが重要なのは、製品を手に取ったり、仕様書を見たりする前から、その会社に対する印象を形づくるものだからです。強いブランドは信頼を生み、自信や安心感につながる。そして、お客様が意思決定をするときの不安やリスクを和らげる力があります。私たちの業界では、システムを導入するインテグレーター、システムに自社の信頼を託す施設、そして最適な技術を提案するパートナーなど、多くの方が大きな責任を伴う判断をしています。だからこそ、強いブランドは、そうした判断を自信を持って進めるための支えになるのです。
だからこそ、私たちは時間をかけて検討を重ねてきました。ブランド名を変えるというのは、自分たちが何者で、これからどこへ向かうのかを、明確に伝えられる貴重な機会だと考えています。
私たちが掲げる理念
ブランドの土台をつくるということは、自社の独自性や理念を定義し、何を大切にしていくのかを明確にすることです。それは、一時的なものではなく、この先何十年にもわたって通用するものでなければなりません。私たちにとって、革新性や品質、そしてプレミアムな製品は、この先も決して譲れない価値です。そのうえで、真の自分たちらしさとは、そして今後50年の支えとなる本質とは何なのかを、改めて見つめ直しました。
私たちには、仕事をするうえで大切にしている二つの信念があります。そして、それは802 LABSになっても、変わることなくブランドの中心であり続けます。
まず第一に、私たちの強みは人材です。人と人との繋がり、迅速な対応。困ったときには電話がつながり、話を聞いてくれる、駆けつけてくれる。最後まで対応してくれるという安心感。これは単なるマーケティングメッセージではありません。50年以上かけて築いてきた私たちの仕事の姿勢です。そして、それはこれからも変わることはありません。
2つ目は、素晴らしいサウンドを簡単に実現できるようにすることです。プロオーディオの世界は、以前よりずっと複雑になっています。規格も、連携するシステムも増えて、設計から導入完了までのプロセスも多くなった。だからこそ私たちは、その複雑さを少しでもシンプルにし、よりスムーズな体験を提供したいと考えています。そして、お客様やパートナーの皆様に、本来あるべき時間と安心感を取り戻していただきたい。それが私たちの目指すことです。
この両方が、これからのすべての基盤となるのです。
人の手で作るプロオーディオ
私たちの新しいブランドコンセプトは「人の手でつくる、プロオーディオ」です。これは明確な意図をもって掲げたメッセージです。スペック、パフォーマンス、そしてエンジニアリングの技術力はいつの時も重要であり、これからも変わらずに大切にしていきます。しかし、人々の記憶に残るのは、その先の体験です。システムへの確かな信頼、安心して仕事を一緒に進められるパートナー、そして信頼できる結果。そういう価値を提供し続けることが、私たちの目指す姿です。
私たちが目指すのは、人を第一に考え、比類のない体験を創造して、プロオーディオ企業の価値を再定義することです。私たちの存在意義は、優れたサウンドを誰もが簡単に実現できるようにすること。そのために、複雑さを隠すのではなく、私たち自身がその複雑さを担い、お客様にシンプルで使いやすい体験を提供したいのです。
その取り組みは、以下の5つに表れています。
私たちは、ハードウェア、サービス、サポート、そしてそれらを支えるあらゆるツールを通じて、プロオーディオ企業に期待される価値を新たに定義していきます。
私たちは、お客様を第一に考え、その声を形にしていきます。
私たちは、システムの選定、設置、運用サポートをより簡単にし、エンドユーザーの皆様が優れたサウンドをより身近に体験できるようにしていきます。
私たちは、これまでの常識にとらわれず、常に新しい可能性に挑み続けます。
私たちは、これまでとは違う新しい形のオーディオ企業を目指します。優れたサウンドを、誰もが自然に、簡単に実現できるようにする企業です。
なぜ802 LABSなのか
この名前は、私たちの物語を未来へと繋ぐものです。
802は、私たちのプロオーディオの歴史を切り拓いたスピーカーです。Dr. Boseの設計哲学、研究への情熱、そして後に私たちのすべての製品へと受け継がれていく新しい発想が込められた、初期の代表的な製品でした。そのデザインは今もなお象徴的で、多くの市場で愛され続けるクラシックな存在です。
LABSは、この会社の原点と、私たちが大切にしてきた姿勢を表しています。Dr. Boseは、常に探究する人でした。誰も見つけようとしない答えを求め、誰も投げかけなかった問いに向き合い続けた。ラボとは、人が新しいものを生み出す場所であり、イノベーションが育つ場所です。そして、それこそが私たちの仕事の本質にふさわしい場所なのです。
この名前には、私たちが築いてきた歴史とのつながりと、これから向かう方向性の明確さが込められています。これまで大切にしてきた価値を受け継ぎながら、次の未来へ進むための新たな可能性を広げていきます。
パートナーの皆様へのメッセージ
私たちとともにビジネスを築いてくださったパートナーの皆様、お客様の前で私たちを信頼して提案してくださった皆様、そして世界中の数多くの空間、施設、プロジェクトで私たちの製品を採用してくださった皆様に、心から感謝しています。
Bose Professionalから802 LABSへの移行は、今後1年をかけて段階的に進め、2027年2月には新しいブランド名への完全移行を予定しています。この移行は慎重に進められ、その過程を通じて、私たちは常に皆様とともに歩んでいきます。そして、この新たな章にふさわしいビジョンを共有しながら、皆様とともに未来を築いていきます。
今後50年は、過去50年とは全く異なるものになるでしょう。私たちの業界は変化し続け、システムインテグレーター、コンサルタント、そしてエンドユーザーの期待はますます高まっていくでしょう。私たちはその変化に対応する準備ができており、それは社内外のパートナーネットワークを通じて共に働く人々のおかげです。
人の手でつくるプロオーディオは皆様ひとりひとりとの繋がりから始まります。この新たな章を皆様と共に歩めることを嬉しく思います。
— ジョン・マイヤー、CEO