導入事例 - スポーツ&フィットネス|上海スタジアム

プロジェクトについて

2008年の夏季オリンピックでサッカー競技を開催するために建設された上海スタジアム。近年はFIFAワールドカップの厳しい基準に合わせて再設計され、2023年からは上海申花のホームとなっています。

音響システムの再設計にあたり、現代のサッカー競技が求める厳しい条件を満たす必要がありました。十分な音圧を確保しつつ、均一な音の広がり、バランスの取れた音色、そして明瞭な音声―それらを同時に実現するパワフルかつ柔軟なシステムが求められたのです。

Bose Professionalのソリューション

スタジアムの規模と独特な形状は、当初から大きな課題でした。例えば、屋根は波打つような鞍型で、会場上部には1万平方メートルにおよぶスクリーンキャノピーが設置されています。特徴的で美しいデザインですが、その形状と表面のせいで音の反射が生まれ、明瞭さが損われてしまう要因となっていました。だからこそ、この課題を解決するために綿密なシステム設計が必要だったのです。

さらに、元のスタジアムの構造上、スピーカーの位置や重量にも制限がありました。例えば、スピーカー位置は客席の頭上30mから60m以上まで、場所によって高さが変わるなど、広い空間全体に均一な音場を作るために課題がさらに加わることになったのです。

これらの厳しい設計仕様や要件を満たしつつ、明瞭でパワフルなサウンドを届けるため、Bose Professional Modelerシミュレーションソフトウェアが活用されました。さまざまなスピーカー構成や配置を試し、最適なカバレッジ、音圧レベル、明瞭度を実現するための検証が行われたのです。

綿密な分析とバーチャル音響モデリングテストの結果、最終的にArenaMatch DeltaQアレイスピーカーを採用。スタジアム全体で合計32基のArenaMatchラインアレイを使用し、観客席エリアに16基、競技エリアに16基を配置。それらを60台のPowerMatch 8500Nアンプで駆動し、Danteのリダンダントシステムで接続された3台のControlSpace EX1280Cプロセッサーで制御しています。

ArenaMatch DeltaQモジュールの強みは、異なる水平・垂直カバレッジのモデルを組み合わせてカバレッジをカスタマイズできるところです。柔軟にカスタムできることで、全席に均一かつ明瞭な音を届けるアレイを構築できます。さらにArenaMatchは、重量制限に合わせて各アレイの長さを柔軟に調整できるため、鑑賞を邪魔することもありません。

再設計と新システムの導入を経て、上海スタジアムはFIFAの厳しいワールドカップ要件を満たし、国内でも最高水準の建設基準を誇るスタジアムのひとつとなりました。

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