プロジェクトについて
上海の中心に新たに誕生した「上海インターナショナル・エクイストリアン・センター」は、馬術競技の新たな拠点として注目されています。この施設は、世界的に権威ある「上海ロンジン・グローバル・エクイストリアン・チャンピオンシップ」の開催地としてオープンし、中国で増え続ける馬術ファンに向けて、世界レベルの競技を提供しています。国際的な基準を満たすために、最先端の設備だけでなく、広大なスペースにクリアで臨場感あふれる音響を提供できる先進的な音響システムが求められました。
従来のスポーツアリーナが音量を重視するのに対し、馬術競技場では明瞭さと繊細さの絶妙なバランスが求められます。音響システムは、実況、音楽、競技のアナウンスをクリアに届けるだけでなく、馬のリズミカルな駆け足や騎手の合図、観客の熱気といったスポーツの自然な音も大切にし、それらが体験の一部としてしっかりと響くようにする必要がありました。
同センターは、新しいシステムに対して三つの目標を設定しました;
- 競技場と観客席両方の均一なカバレージ
- スピーチや音楽再生の高い明瞭度。
- 正確な制御とチューニングが可能な最新デジタルインフラとのシームレスな統合。
これらの課題に対処するため、同センターはBose Professionalと提携し、馬術イベント特有のニーズに合わせた音響システムを開発しました。
Bose Professionalのソリューション
Bose Professionalのエンジニアは、IP55等級の屋外耐久性を備え、明瞭で均一な音のカバレッジを提供できるArenaMatchスピーカーを中心にしたシステムを設計。
このシステムでは54台のArenaMatchモジュール(AM40、AM20、AM10を含む)を12のグループに分けて配置。観客エリアや競技ゾーン全体にわたって均一な音の分布を確保しています。システムは16台のPowerMatch PM8500Nアンプで駆動され、冗長性を確保するために2台のバックアップユニットも備えています。デジタル信号処理はControlSpace EX-1280Cプロセッサーによって管理され、Dante接続で制御室とアンプラック間で効率的な信号分配が行われています。
こうした規模の会場では、スピーカーの最適な位置決めや音響的な課題を回避するために、慎重な設計が必要になります。Bose Professionalのエンジニアは独自のModeler® 3Dソフトウェアを使用し場内の音の反響をシミュレートしながら設計を進めました。さらにこのソフトではシステム性能を施工前にプレビューすることもできます。こうしたアプローチにより、最大の明瞭さと自然なサウンドを再生できる最適な位置にスピーカーを配置していきました。
Bose Professionalの新たなシステムにより、同センターにて最近開催されたロンジン・グローバル・エクエストリアン・チャンピオンシップでは臨場感あふれるオーディオ体験を提供することができました。観客は音の明瞭さと均一さを評価し、競技そのものの自然な雰囲気を損なうことなく、その魅力を音響がより引き立てていると感じました。均一なカバレッジとスピーチの明瞭さは今後のイベントにおいても非常に大きなメリットとなるはずです。
Bose Professionalとの提携により、上海国際馬術センターは国際競技に求められる高い技術的な要求と観客の期待の両方を満たす信頼性の高い音響システムを導入することができました。